【困った子は悪い子?】ーイギリスの教科書、オックスフォード・リーディング・ツリーはむしろ育児書📚
【困った子は悪い子?】ーイギリスの教科書、オックスフォード・リーディング・ツリーはむしろ育児書
イギリスでリーディングの教科書として使われている、オックスフォード・リーディング・ツリーのシリーズ。5才のキッパーという男の子と、双子の兄姉のチップとビフ、両親と犬のフロッピーの家族の物語です。これが実によく考えられているストーリーで、楽しんで読んでいるうちに自然に英語が身につくようになっています。
私が主宰しているチルドレンズ・イングリッシュ・センターの発表会では、子ども達がこのシリーズの中から好きな本を選んで、聴衆の前で読むことになっています。短いストーリーの中に愉快なオチがあって、どれを読もうか選ぶのも楽しそうです。
その中で私が特に気に入っている本が、”Naughty Children”(悪戯っ子)です。ある日キッパー達の家に二人のきょうだいが預けられるのですが、なんとまあこの子達がとにかくヤンチャです。ソファの上でジャンプしたり、カーテンによじ登ったり、花壇を踏みつけたり。普通ならここで大人が叱るところですが、このお話はそのようには進みません。
「ビフがいいアイディアを思いつきました。」と話は展開していくのです。どんなアイディアか私も知りたいところだわ!そんな気持ちでページをめくると、ビフが子ども達を公園へ連れて行くのです。そこで子ども達は誰にも迷惑をかけることなく思いっきり遊んで、最後はママに「なんていい子達でしょう」とまで言われて帰っていくのです。
電車で騒ぐ子、スーパーで走り回る子、授業中に立ち歩く子。そんな子ども達を大人は悪い子、困った子、躾がなっていない子、とレッテルを貼りがちですが、場所や状況が変われば評価が変わることをこの本は教えてくれます。
小学校教員の目線でいうと、子どもがヤンチャでもそれがありのままの姿なら実はあまり心配しません。ありのままの子は(行動はさておいて)機嫌がいいのです。手はかかりますが、機嫌のいい子はいずれ自分で考えて落ち着いきます。機嫌がいいということは簡単にいえばハッピーなのです。
心を悩せるのは、苦しみや悲しみを抱えていて、それが問題行動に繋がっている子ども達です。子どもは心のモヤモヤをうまく表現できないので、行動の背景を丁寧に読み取っていかないと、さらに深い闇へと陥れてしまいます。
機嫌がいいか悪いか。
表情を見ればすぐに分かります。すぐ顔に出る子どもの正直さが私は大好きです。たとえ悪態をつかれてもです。おべっかや忖度、戦略や根回しもないシンプルな世界が実に清々しいのです。全身全霊で向かってくる子ども達に大人としての真価が問われています。いい人にならなくちゃ!
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