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【先生の秘密を暴け!】知りたくてしょうがない子ども達

illustration by ふうちゃん

私は子ども達の間では、永遠の5才ということになっている。チコちゃんと同じだ。数年前、ハロウィーンのコスチュームでチコちゃんの衣装を自作してから私のことを「チコちゃん」とか「チコー!」(なぜに呼び捨て?!)と呼ぶ。

英語では、My name is 〜. に続いて、I’m 〜 years old. と教えるのが定番だ。例を示すために自分の年齢を言う。別に隠すつもりはないが、本当の年齢を言うと彼らはまだそんな巨大な数字を習っていないので、チコちゃん放送以来、5才を使わせてもらっている。

しかし好奇心旺盛な子はそれでは済まない。むしろ本当はいくつ?で頭がいっぱいになる。何とか先生の秘密を暴きたい。

児童

だって去年も5才だったよ。

先生

永遠の、と言っているでしょ。
(セーフ)

児童

先生の子どもは何才?

先生

子どもも5才よ。

児童

だって妊娠は最低でも9ヶ月あるよ。

先生

そうきたか

児童

Suica 持ってるよね?

先生

持ってるよ。

児童

Suica 持てるのは12才からだよ。(鋭い視点)

児童

聖闘士星矢って知ってる?

先生

知っているよ。

児童

あれ1980年代の漫画だよ。
周りの人から聞いて知ってるんだよ。

先生

詳しいな

先生

周りの人から聞いて知ってるんだよ。

児童

さっきポケモンGOの話した時、先生は創世記のキャラクターしか知らないって言ったよね?

先生

しまった

児童

5才は働いちゃいけないんだよ

先生

天才だらかいいんだよ。(もうめちゃくちゃ)

子ども達は様々なロジックで攻めてくる。真実を導き出そうとあれやこれやと必死になって問いを考える。こんなことなら本当の年齢を言ったほうがマシだったと今では思うが、もう後には引けない。それにしてもなぜ彼らはそんなに私の年齢を知りたいのか。

それは私の年齢というより、人は真実を知りたいという欲求があるからだ。特に子どもは!謎が生まれたとき、解明したいという欲求が抑えられず、頭がフル回転する。子どもはいつだって、知りたい、学びたい欲求でいっぱいなのだ。

21年前にボストン郊外の、サドベリーバレースクールというオルタナティブスクールを訪問した。創設者のダニエル・グリーンバーグ氏は「子どもは自ら学びたいと思っている存在だ」と言って1968年に、何も教えない学校、サドベリーバレースクールを開校した。子どもが自分の興味と好奇心に従って自分で学び、学校自体も子ども達の自治によって成り立っているので民主主義の学校とも呼ばれている。サドベリーの子達は、普段は木登りしたり、ギターを弾いたり、釣りをしたりしていても、学びたいと思ったら2年分の算数をわずか3ヶ月で学び終えたりしていた。*サドベリーのことは機会をみて詳しく書きたいと思う。

何も知らなくてもいいと思っている子など、どこにもいない。子どもは、知りたくて知りたくてしょうがないのだ。だからわざとデタラメなことを言って子ども達に考えさせている。。と言ったらカッコいい教師だろうな。でも私は単に、子ども達の反応がユニークで面白いので、あれこれデタラメなことを言っているだけだ。よくこんな事を思いつくなと感心する。結果、彼らの頭がフル回転しているのを目の当たりにする。そしてダニエルの言葉を実感する。

今度からやっぱり教師らしく、英語で質問したときのみ本当の事を答えると言ってみようか。いや、反応は目に見えている。作為をもって子ども達に接した途端、彼らは興味を失うのだ。

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この記事を書いた人

チルドレンズ・イングリッシュ・センター代表
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